パライバトルマリン




1980年代終盤に発見されてから、パライバ産トルマリンはその際立ったネオンブルーとグリーンで、宝石界に衝撃を与えてきました。
鮮やかな色合は瞬く間に他のトルマリンとは一線を画すようになります。
この宝石がお目見えしたとき、世界は熱狂しました。特に上質なカラーストーンに対する需要が貪欲だった日本での反応は激しいものでした。
3.00から5.00カラットの大きさの最高品質の価格は、カラット当たり1万ドル以上に急騰しました。
トルマリンの中でも、珍重される赤色のルベライトや緑色のクロムトルマリンでさえ、そのような高い価値を出したものはありませんでした。
パライバトルマリンの希少性がその高価格に寄与したことは間違いありません。
この宝石は、ブラジル北東部の角にあるパライバ州の一地域から採れるエルバイトトルマリンです。
他の多くのブラジル産エルバイト同様、パライバ産トルマリンは、ペグマタイトの中に形成されます。
研究者は、その結晶は非常に異例な状況下で形成し、マンガンおよび銅のような微量元素を大量に持つことで、それが色を生む原因となり、
他の宝石、特にトルコ石などで銅が石を着色する場合があるとしても、他のトルマリンでは銅が着色剤となることはないため、パライバ産トルマリンは異例と言えます。
多量の銅が入っているものもあり、自然銅-殆ど純粋な金属として-のインクルージョンがこの宝石の内部を際立たせています。
科学者達は、宝石が結晶し始めた後に自然銅のインクルージョンが初期の冷却段階で形成されるからと推測しています。
パライバ産トルマリンの色相は、緑がかったブルー、青味がかったグリーン、グリ-ン、ブルー、およびバイオレットにわたって見られます。
バイヤーはこれらのすべての色を求めますが、ブルーとバイオレットが最も人気の高いものです。
バイヤーは、パライバ産トルマリンが持つ並外れた質の色をうまく表現しようと数々の名称を使用します。
「ネオン」ブルーのほか、「エレクトリック」「ターコイズ」「サファイア」「タンザナイト」ブルー、また「ミント」グリーンのような言葉を使用します。
最高品質のパライバ産トルマリンの価格は、他のトルマリンをはるかに上回ります。より魅力的な色相、より高い色飽和度、より高い希少性のためです。
他のトルマリンと直接比較すると、その違いは歴然です。
例えば、グリーントルマリンと比較した場合、グリーン・パライバ産トルマリンの方が、より飽和した色相で明るい色調を示します。
原石の価値が高いため、パライバ産トルマリンにはほとんどの場合カスタムカットが施されます。 通常、一般的なペアシェイプやオーバルのブリリアントカットにファセットカットされます。 1カラット以上のサイズのパライバ産トルマリンを見ることは滅多にないでしょう。 ですが、重要な要素はサイズではなく、色です。 従って、取引業者が大きな石とより鮮明な色の石のいずれかを選ばなければならない場合、他の要素が同じであえれば、より良い色の宝石を選びます。
ブラジルのパライバ地域でみられる鮮やかで、強烈な色の宝石に似た銅含有トルマリンが、世界の他の地域でも見つかっています。
GIAの科学誌、「Gems & Gemology (宝石と宝石学)」の2008年春号の記事は、モザンビークの銅含有宝石について記しています。 ナイジェリアも、これらの印象的な宝石の産地となっています。
パライバ産トルマリンの短い歴史の中で、取引業者はこの宝石の極端な希少性に諦めムードになることも多々ありました。
しかし、ブラジルの他の地域やアフリカ東部での新たな発見により、この希少な銅含有トルマリンの存続性のある商業的産地が、もっと多くの素材を市場に供給する可能性が出てきました。
残念ながら、新しい原産地はまた、これらの貴重な宝石にパライバという名称を使う件について疑問を提起してもいます。
◆店主の思い入れ
ティファニーをお買い上げになった時の、あの淡いブルーの袋を想像してください。宝石で、あの色を表現できるのはパライバトルマリンだけです。
石言葉は「希望」、爽やかな青空を思い浮かべると、なんとなく理解できます。
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